【書評】「キホン」の中でもちょっとレベルの高いテクニック集-伊庭正康『数字を上げる人の営業・セールストークのキホン』
日本には古来から伝わる「守破離(しゅはり)」という考え方があります。
剣道や茶道などで、修業における段階を示したもの。「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。
要するに、「まずは基本をしっかり覚えて、自己流をやるのはそれからだぞ」というお話。
よほどの天才ではない限り、いきなり自己流で結果を出すというのは無理だと思うので、まず基本を教えてもらい、そしてそれを自分のものとして定着させるのは何よりも大事です。
そういった意味で営業の"キホン"を学ぶために選んでも良いと思う本書なのですが、僕が読んだ感想としては、「営業をゼロから始める人よりは、一通りやってみた段階の人が"キホン"の抜け・漏れが無いかの点検+さらに一段ステップアップするための学び」に適しているなぁという感じです。
初心者には本書に加えて「営業マインド」の補強を
僕はれっきとした営業職ではありませんが、「ノルマ」と言うほどでもない目標が設定された営業的なものを仕事でだいぶかじっていたので、商品を売り込む際にどんなスタンス(マインド)でいるべきなのか、大まかな基本テクニック、売れたときの喜び⇔売れなかったのときの苦しみなんかは、一通りわかっているつもりです。
その上で本書を読んで、勉強になることがたくさんありました。
営業で社内全国トップレベルの成果を出された方の、営業目標の立て方やトークの切り返し方、細かい気遣いなどなどなど…。
どれも非常に役立つ内容で、ぜひ人にも教えてあげたいなと思うのですが、じゃあその対象を誰にする?と考えたときには、最低でも半年~1年の営業経験を積んだ後輩かなぁと思います。
僕は仕事において(他のことでもそうだと思いますが)、「テクニック」よりも「マインド・スタンス」が大事だと思っていて、きちんとした(営業の原理原則から見て"正しい")考え方を持つ前にテクニックに傾倒するのは少しリスキーかなぁと考えています。
その部分において、本書では第1章で若干触れられている感じはありますが、新人営業マンに読ませるならば、その前に上司や先輩から補足(補強)をしてあげる必要があるかな~という感じです。
繰り返しますが、書かれている一つひとつの項目は勉強になることが多いです。
(たまに「ん?」と引っかかる部分もあったような気がしないでもないですが…)
読み手側のステップを考慮して本書を手に取るタイミングを選ぶと、より良いと思います。
【26歳中間管理職の書評】