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記憶力は悪くない方なので、いつどこに誰と遠征に行ったとか、行った先で何をしたとかは、結構覚えていたりする。
誰がゴールを決めて、どんなプレーが生まれて、試合展開はどうだったか……あたりまで記憶に残っている試合も、少なくない。
けど、2年前の今日。
人々が未だに「フクアリの奇跡」と呼ぶあの試合のことは、実はあまりよく覚えていない。
それだけあの一瞬のインパクトが凄まじかった、ということだろう。
J1昇格への大一番だったこの試合、僕はいわゆる「フロー状態」のようになっていた。
時計はありえないほど速く進み、場内アナウンスもろくに聞こえず、選手交代で誰が出入りしたのかも全く覚えていない。
あの日歌ったチャントで唯一記憶にあるのは、都倉の同点ゴールを呼び込んだ「ブラジル」だけで、あとは何をしていたかも全く思い出せない。
他に断片的な記憶として残っているのは、アディショナルタイムに急に緑のピッチが明るく見えたことと、内村が難しい角度からさも当たり前かのようにシュートを決めたこと、そして……試合が終わってもいないのに大号泣している自分。
その次に思い浮かぶのが、蘇我駅前の居酒屋で飲み会に参加している風景だから、本当に試合に関する記憶がないのだろう。
J1に昇格してから、この2年間で(カップ戦も含めると)60試合以上現地で応援をしたけれど、あの試合中の感覚を再び味わったことはない。
2016年11月12日。
2年前の今日の試合が北海道コンサドーレ札幌の歴史上、もっとも価値のある勝利であった可能性もあると、僕は思う。
結局、あの日のことは「奇跡」と呼ぶしかない
2年後の、今日。
J1で4位につけ、ACL出場権を争うようなチームになっているだなんて、あの日のフクアリで想像する人は、間違いなく誰ひとりいなかっただろう。
もしあの試合で引き分けて、自動昇格圏を最後の最後に逃し、プレーオフも勝ち抜けていなかったら。
今となってはこちらの方が想像し難いかもしれないが、その可能性だって十分に有りえた。
しかし、最後の最後に決まった一つのゴールが生んだ「奇跡」が、見たこともないような新しい景色を、今も鮮やかに描き続けている。
我々はあの日のことを「奇跡」と呼ぶ以外許されない。そんな気さえする。
その場に居合わせることが出来たのは、サポーターとしてこの上ない幸せだ。
そんな「奇跡」は、また起こるだろうか?
2018年12月1日。
北海道コンサドーレ札幌の歴史上、もっとも価値のある勝利をこの日に刻めるように。
僕らの愛するチームが、さらなる高みに行けるように。
良い雰囲気作ろう。頑張ろう。