あの日、広島で見た忘れられない光景
ーー決めれば同点。
ーー決めて当然。
……………外したらどうしよう。
自分達が圧倒的に有利なはずのPKが、
エース・都倉が無人のペナルティエリアをゆっくりと進み、
僕が自分の目で見た、PKの記憶はそこで止まっている。
気づいたときには、最前列の手すりから身を乗り出して、
「頼む!!!!!!!あと1点取ってくれ!!!!!!!!!!!
「お前しかいないんだよ!!!!!マジで!!!!!!頼むって!
魂の底から、ただ「勝ち」だけを乞うていた。
そのために必要なものを、本能で求めていた。
◇
あのときのゴール裏は、経験したことのない異様な空気だった。
「1つのゴールのインパクト」という観点で見れば、シチュエーションとしては2016年にフクアリで内村が決めたゴールの方がよっぽど凄い。それは誰もが認めるところだろう。
あのゴールを「(結果的に)ハッピーエンドを決定づける"終止符"」だとすると、今回の都倉のゴールは「ハッピーエンドを勝ち取るために、北海道コンサドーレ札幌というチームとそのサポーターたちが、
そんな風に感じられたゴールを見たのは初めてで、あの試合からもう10日以上が経つのに、日常のふとした瞬間に何度もこのシーンが思い出される。
そしてそのたびに、心の中で熱い気持ちが蘇るのがわかる。
今年初めてもらえたPKが、あの試合のあの場面だったことは、今シーズン全体を見たときに非常に大きな意味を持つ"可能性がある"。
本当に大きな意味があったかどうかは残り6試合、時間にして540分が過ぎたときに決まる。
「未来が過去を作る」
この想いを忘れずに、僕たちサポーターも一人ひとりが出来ることをしっかりとやっていこう。