都倉賢選手へ
このお気持ち記事を書くにあたって、まずは僕のスタンスを明記しておく。
- 僕は5年前にやってきた都倉賢という選手を愛し、その熱いプレーに酔狂し、彼が一番輝くゴールの瞬間を願い、どんなときも彼のことを信じてゴール裏で彼の名前を、腹の底から、いや心の底から叫び続けたサポーターの一人である
- 今回の移籍については、全面的に本人の"決断"を尊重する。我々には願う権利はあっても、止める権力はない
- ただ、引退後(もしくはそれに近い状況で)ヘラヘラ北海道に戻ってきて「またみんなに愛されるキャラで居よう」というおつもりなら、それについては考え直して欲しい
では、お気持ちを表明する。
都倉賢選手へ
今回の移籍に関する第一報が出た日、本当は「僕の選ぶ2018シーズンベストゴール」みたいな記事を書くつもりでいた。
そのために、リストアップしていた候補がこれ。
この選手が居なくなるなんて、誰が想像した?
この選手が居なくなったチームのことを、想像できるか?
正直、第一報を聞いたときから、道新スポーツの"大本営発表"が流れるまで、僕の気持ちは「行くわけないじゃん。何言ってるの」だった。
客観的な理由は、何もない。
が、これまで応援してきた都倉賢という男がそんな決断を下すとは、到底思えなかったからだ。
別に変な意味とか希望的観測ではない。根拠はなく、しかし心の底からそう思えた。
都倉賢というのは、そういう男だ。
「愛させ上手」
彼が札幌に居た5年間を振り返ると、そんな言葉がしっくり来るなぁ、と僕は思う。
名家に生まれた生粋のお坊ちゃまで、プライドも高い、常にカッコつけてるニイちゃん(実際カッコいいんだけど)
でも、性格は底抜けに明るくてフレンドリーで、みんなの懐に、心にスッと入って来る。いや、彼のプレースタイルと同様、ゴリゴリと入って来る。
常に前向きで、自分で掲げた目標に向かって、泥臭く全力を尽くしている。
そして無類の勝負強さで、いつも苦しいときにチームを救ってくれる。
神戸のポドルスキとか鳥栖の権田とか、各国代表レベルの選手も遠慮なく煽りに行ってくれる、僕らサポーターの"代弁者"でもある。
最後だから言っちゃうけど、いい年してガキ大将なところとか、行動の下心が見え見えなところとか、そういうちょっぴり荒っぽいところもある。笑
でも、そういうところが見えても「しゃーねーな!」って自然と思えて、心から応援したくなる。
言葉にはしないけど「オレのことを愛せよ!」って言ってくれて、全力で愛させてくれる。そんな選手だった。
こんな選手はこれまでに見たことがないし、もしかしたらもう現れることはないかもしれない。
そういう意味での心の喪失感は、今よりもきっと来シーズンが始まったときに、古傷が疼くように感じるようになるだろう。
僕はもう、「大丈夫、まだ都倉がいるから」という心の支えの無い、ビハインドの試合との向き合い方を忘れてしまった。
◇
今年一年間、ほぼ全試合をチームのそばで応援してきてこれが自分の大事な価値観だなーと思ったのは、「応援している選手が幸せそうな様子を見るのが、自分にとって一番幸せだ」ということ。
まぁつまりそれは"ゴール"や"勝利"とほぼ等しくて、だから応援するのだけれど、幸せの形はそれ以外にもあると思う。
僕は、今回の都倉の決断が、彼にとって幸せなものであれば、それでいい。
移籍したことが成功だったか、失敗だったかという結果論ではなく、その選択自体がどうだったか、という観点で。
だからこそ、北海道への未練とか、「いってきます」という言葉とか、そういうのを気軽に語って欲しくない。
物事は必ずしも白か黒かで分けられるわけではないけれど、自分の進む方向と反する要素を口に出せば、自分の行動に影響を与えてしまう。
決めたからには、全力でやりきって欲しい。
そして、幸せを掴み取って欲しい。
北海道コンサドーレ札幌のサポーターである僕から、北海道コンサドーレ札幌背番号9 都倉賢への、最後の応援。
熱い刺激を俺達に。
5年間ありがとうございました、都倉選手。